物理レプリケーションと論理レプリケーションとは
物理レプリケーションと論理レプリケーションは、データベースのデータを他のデータベースにコピーするための異なるアプローチです。それぞれの方法には特徴や適用シナリオがあります。以下に両者の概要と違いを説明します。
物理レプリケーション
物理レプリケーションは、データベースの物理的なストレージ構造(ファイルやディスクブロック)を複製する方法です。データベース全体の状態をほぼリアルタイムで別のデータベースにコピーします。物理レプリケーションは、以下の特徴を持ちます。
特徴
高パフォーマンス: 物理レプリケーションは低レベルのストレージ変更をキャプチャし、転送するため、高速で効率的です。 完全な一致: データベースの複製は、元のデータベースと完全に一致します。これにより、冗長性と高可用性が確保されます。 データ整合性: 物理レプリケーションは、データ整合性を確保するために非常に信頼性があります。 レプリケーションの範囲: データベース全体が複製されるため、部分的なデータのレプリケーションはできません。
適用シナリオ
高可用性: プライマリデータベースの障害時に、セカンダリデータベースが即座に切り替わるフェイルオーバー構成。 災害復旧: データセンター間でデータベースのリアルタイムコピーを保持し、災害発生時に迅速に復旧。
論理レプリケーション
論理レプリケーションは、データベース内の論理的な変更(テーブルの行の挿入、更新、削除)をキャプチャして複製する方法です。論理レプリケーションは、以下の特徴を持ちます。
特徴
柔軟性: 特定のテーブルやデータベースの一部だけをレプリケートすることができます。 データ変換: レプリケーションの過程でデータの変換やフィルタリングが可能です。 クロスバージョンレプリケーション: 異なるバージョンのデータベース間や異なる種類のデータベース間でのレプリケーションが可能です。 パフォーマンスオーバーヘッド: 物理レプリケーションに比べて若干のパフォーマンスオーバーヘッドがある場合があります。
適用シナリオ
データ統合: 複数のデータベースからデータを統合し、集中管理する場合。 データ分散: 異なる地理的ロケーションにあるシステム間でデータを共有する場合。 バージョン間の移行: データベースのバージョンアップ時に、異なるバージョン間でデータを移行する場合。
まとめ
物理レプリケーションは、データベース全体を物理的に複製し、高パフォーマンスとデータ整合性を提供します。主に高可用性や災害復旧のシナリオで使用されます。 論理レプリケーションは、データベースの論理的な変更を複製し、柔軟なレプリケーションとデータ変換が可能です。データ統合、分散、異なるバージョン間の移行などに適しています。